2012年10月21日

【新聞記事】安らぎの散骨、少子化で墓の管理や継承困難に


東京新聞です。



冒頭部分にもあるように大ヒット中の映画「あなたへ」の影響で、散骨が改めて見直されつつあるようです。

東京新聞:安らぎの散骨 少子化 墓の管理・継承困難に:社会(TOKYO Web)

遺骨を海や山林にまく散骨に関心が高まっている。背景にあるのは、自然に返るという死生観に加え、少子高齢化に伴う墓の管理、継承の問題。先祖代々の墓を閉じて、海にまく人もいる。上映中の邦画「あなたへ」(高倉健さん主演)も散骨が主題だ。東京湾での散骨に同行し、最新事情を探った。 (杉戸祐子)

十三日午前、東京湾の浦安沖。東京・越中島から出航した小型船が止まると、六組の家族ら十五人がデッキで散骨を始めた。遺骨はそれぞれ事前に砕いて粉末状にし、水溶性の紙に包んである。海面で紙が溶けると、一瞬だけ白色が広がり、深緑色の海原に消えていく。一緒に投げ入れられた色とりどりの花が波間に揺れる。空をカモメが舞っていた。
NPO法人「葬送の自由をすすめる会」(東京都文京区)による合同葬。千葉県木更津市の女性(40)は両親の遺骨を投じた。「両親は『子孫がずっと続くわけではない』と墓を望まず、『夫婦で海に』と言っていた。寂しいが、喜んでくれたと思う」。涙があふれ出た。

東京都小金井市の女性(74)は婚家と実家の墓に眠っていた十一人分を散骨した。跡継ぎがおらず、墓を閉じた。「生命の源だった海に返すのは自然。肩の荷が下りた」。船は周囲を旋回し、汽笛を三度。女性は手を合わせ、こうべを垂れた。


お墓にあったお骨をまとめて散骨するケースというのも、あるんですね。これにはちょっとしたショックを受けました。先般「遺骨の落とし物」という話題を紹介しましまが、扱いに困った遺骨を受け入れてくれる「受け皿」が、もっともっと必要な時代が来ているようです。

終盤は、散骨の法的扱いについて。

散骨について、厚生労働省は「法的規制はない」としているが、違法とみなされた時代もあった。九〇年の総理府(現在の内閣府)の世論調査でも、散骨に過半数が否定的だった。

ところが、第一生命経済研究所が中高年者を対象に〇九年に実施した調査で、散骨を希望したのは29%。逆に「好ましくない」は15%。同研究所の小谷みどり主任研究員は「散骨に対する忌避が薄れている」と話す。

ただ、農産物の風評被害などを懸念し、条例で散骨を禁じている自治体もある。〇五年の北海道長沼町が最初。首都圏では埼玉県秩父市が「墓地以外の場所で、原則、散骨をしてはならない」としている。


散骨の合法化とでも言いますか、散骨をきちんと法律の中に位置づける作業は「待ったなし」ですね。尊厳死のことともども。国会があのていたらくなので、この数年でとても実現しそうにないのはとても悔しいですが。

さて散骨の法律については、以下の記事がやや詳しく考察しています。こちらも、別途取り上げる予定です。

冠婚葬祭ビジネスへの視線/自由に弔われる時代がやってくる: 月刊『記録』

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