2015年11月21日

【ニュース】斜線引いた遺言書は「無効」との最高裁判決


最高裁まで争われた訴訟の判決が出ました。

一審・二審とは正反対の結論となる逆転判決です。

最高裁第二小法廷 平成27.11.20 平成26(受)1458 遺言無効確認請求事件
本件は,上告人と被上告人の父である亡Aが作成した昭和61年6月22 日付け自筆証書(以下「本件遺言書」という。)による遺言(以下「本件遺言」という。)について,上告人が,Aが故意に本件遺言書を破棄したことにより本 件遺言を撤回したものとみなされると主張して,被上告人に対し,本件遺言が無効であることの確認を求める事案である。
自筆証書遺言の訂正についてはミスやトラブルの温床なので、「間違えたら、最初から書き直す」というのが鉄則です。今回のように撤回する場合は、文面にそれを書き込むのではなく、破り捨てるなど物理的に破棄しないとダメですね。

これは新しい遺言を書いた時も同様です。過去の遺言があるなら、それをきちんと処分しておかないと、余計な解釈や争いのもととなります。あと、自筆証書遺言と公正証書遺言が併存しているというのも、トラブルの元。

今回はたまたま最高裁で無効となりましたけど、地裁・高裁では撤回が認められませんでした。状況によっては「有効」とされる可能性があるので、「撤回したいなら文面をバッテンで消せば良い」などとは考えない方がいいですね。「撤回するなら、破り捨てる」が王道です。

斜線の遺言書「無効」 最高裁判決、「故意に破棄」認定  :日本経済新聞
遺言者自ら斜線を引いた遺言が有効かどうかが争われた訴訟の上告審判決で、最高裁第2小法廷(千葉勝美裁判長)は20日、「故意に遺言を破棄したといえ無効」とする判断を示し、有効とした二審・広島高裁判決を破棄した。自筆で遺言を残す人が増える中、一定の条件下で遺言者の意思を尊重した判断といえそうだ。
「遺言者の意思尊重」というのは基本的な流れとしてあるので、遺言する側というより遺言される側は、それを意識して置いた方がいいかもしれません。

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p-4195264 at 17:18│Comments(0)TrackBack(0)

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