2015年06月23日

【新聞記事】遺言公正証書の作成が年間10万件


毎日新聞です。


昨年ついに10万件を突破しました。日本公証人連合会が発表したのが先月のことですので、「ニュース」ではないですね、もはや。
遺産相続を巡るトラブルを防ぐために、公証人の助言を受けて作られる遺言公正証書の年間作成件数が2014年に初めて10万件を突破した。高齢化の進展に加え、家族の形態が多様化し、法律の定めとは異なる相続を望む人が増えていることが背景にある。今後もニーズが高まることが予想されるといい、日本公証人連合会(日公連)は大切な遺言を確実に保管するために証書のデジタルデータ化にも取り組んでいる。

自筆証書遺言の検認件数は1万7千件ほどです。単純にこれを足しても12万件あまり。年間の死者数は120万人をゆうに超えますので、亡くなった時に法的に有効な遺言を遺している人は1割に届きません。

遺言公正証書の作成件数が増えているといっても、まだごく一部の人がやっているに過ぎないんですね。個人的には過半数に達してもおかしくないと思っているので、まだ「伸びしろ」は相当あるはずです。

なお、遺言公正証書を作成してからそれが効力を発するまでにはタイムラグがあります。また、数は少ないでしょうが二度、三度と遺言を書く人もいます。よって、死亡時に遺言公正証書があった人は、昨年時点でも10万人よりずっと少ないはずです。

記事では課題として、遺言者の判断能力(法的には「意思能力」)と保管のことが挙げられています。特に前者については、作成件数と認知症高齢者がともに増えていく中で、ますます問題になってくるのは確実です。

また民法改正も議論に上っているところですが、「多くの人が遺言を作成するようになったときの相続法制はいかにあるべきか」という視点もぜひ組み入れていただきたいものです。遺留分を廃止もしくは大幅に縮小すれば、遺言の制度がずっと簡素になるのではないでしょうか。遺言者の自由度を増す、ということですね。


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