2015年05月20日

【書籍】寺院消滅 ~失われる「地方」と「宗教」~


今月大注目の新刊です。


去年の11月から今年3月にかけて「宗教崩壊」という連載コラムを執筆した記者ですので、そのコラムが土台になっていると思われます。

宗教崩壊:日経ビジネスオンライン

今回初めて知りましたが、筆者は1974年生まれ、そして自身も浄土宗の僧侶なんですね。

「坊主丸儲け」「寺は金持ち」というイメージは強いが、日本のお寺は、かつてないほどの危機に瀕している。菩提寺がなくなり、お墓もなくなってしまった――。こんな事態が現実になろうとしている。

中でも地方のお寺の事態は深刻だ。高齢化や過疎は檀家の減少につながり、寺の経営を直撃する問題となっている。寺では食べていけないことから、地方の寺では、住職の跡継ぎがいない。

しかし、寺は地域住民の大切なお墓を管理しなければならないため、簡単に廃寺にしたり、寺を移転したりすることはできないのが現実だ。
今回「宗教崩壊」ではなく「寺院消滅」というタイトルになったのは、ベストセラー「地方消滅」を意識したためと思われます。その種の問題意識を持つ人に注目してもらうためのネーミングでしょうね。

地方においては、コミュニティの弱体化によりお寺の持続が困難になり、それがさらにコミュニティを弱体化させるという悪循環があるように思われます。そうした「危機」に、当のお寺や檀家はどのように対処しているのか、またこれからどう対処すべきなのか。

また一般人、とりわけ都市部に住む一般人については、仏教の存在が希薄になる中でどう死生観を築いていくのか、が大きな問題です。仏教のくびきを離れていろんな選択肢の中から選べるようになったのは確かですが、それが本当に安心や満足に結びついているのかどうか。

これからの日本では数多く議論が行われ、そして実践も積み重ねられていくことでしょう。そうした中でこの本は「基礎テキスト」のようなものになっていくかもしれません。「仏教ぬきの死生観」みたいなものがしっかり確立されたとしたら、いわば業界人以外にはどうでも良い話、になってくるのかもしれませんが。

 



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