2014年09月20日

【ブログ記事】カナダ産相続キットをのぞいてみた


日本相続学会の専務理事を務める筆者が、あくまで「個人の意見」と断った上で、カナダと日本の相続制度を比較しています。



一般社団法人 日本相続学会の専務理事という立場を離れて、個人的な意見を述べると私は実は民法968条の自筆証書の要件(自筆)に長い間疑問を感じていた。理由は簡単。パソコンのワードソフトが普及する前のレガシーが延々と生き続け、IT時代にそぐわないからだ。

ただし「自筆証書のワープロ化を容認しよう」という声は、一般社団法人 日本相続学会の中からはまったく聞こえてこない。

その理由は明快である。学会員の中に「遺言書の作成アドバイスを飯の種にしている」士(さむらい)族が多くいるからだ。公正証書遺言を作成する場合でも、多くの場合は司法書士等のアドバイスを受けて、原案を作ってから公証人役場に赴くというのが通常の流れのはずだ。日本の場合「遺言書の作成」は士族にビジネスチャンスを提供していると考えてよいだろう。
日本でも、「より多くの人に遺言を書いてもらうには、どうしたら良いのか」という視点での民法の見直しはあってしかるべきではないでしょうか。ワープロ打ちを認めるというのは、考えられる方策のうちの一つに過ぎません。その際、「自分たちの商売に不利だから」という動機で反対する専門家なる人たちがいるとするなら、厳しく批判せねばなりますまい。

ところで今精々1割弱の人しか作成していないと言われている日本の遺言書はこれからもっと普及するだろうか?

私はyesと考えている。理由は高齢化・少子化・非婚等によるライフスタイルと価値観の多様化だ。自分が残す財産を自分の意思に従って誰かに譲りたいという思いは高まるのではないだろうか?
この点、同感です。どう改正するかはともかく、まずは議論が活発化することを望みます。その意味で、上記記事を多くの人に読んでいただきたいものです。専門家か非専門家かに関わりなく。


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